黄金(きん)の林檎
待ちで友人と待ち合わせしている時だった。
友人が来るのを待っていると見たことのある顔に気づく。
向こうもすぐに気づいたようで、横にいた友人らしき人と一緒にこちらに向かって来た。
「稜君!」
「あー……、こんにちは」
偶然に出会った人は、姉のサークルの人で三木谷さんが、亜季先輩と呼んでいた女だ。
飲み会に姉を迎えに行くとこの人が一番しつこく話しかけてくるので、俺としてはあまり関わりたくない相手だった。
「どうしてこんなところにいるの? 家この近くだったっけ?」
「いえ、友達と待ち合わせです」
「えーそうなんだぁー」
女がそう言っている後ろで友人が現れ、俺は友人に向かって軽く手を上げた。
「わりぃ、お待たせ……ってこの人達知り合い?」
「ああ、この人がねーさんのサークルの先輩」
「亜季でーす。彼のお友達?」
「はい」
体をくねくね動かし高い声で話しに割り込んでくる。
そうするのが可愛いと思っているんだろうけど、逆にわざとらしくて気持ち悪いとしか思えない。
「これからどっか行くの?」
「えっと……映画です」
聞かれて素直に友人が答える。
その言葉に女が嬉しそうに笑った。
なんか嫌な予感しかしない。
「うそうそ! 私達も映画観ようかーって話してたんだよ? じゃあさ、私達と一緒に観ようよ」
「え?」
どう考えても嘘としか思えないことをさらっと言って、一緒に行動しようと誘う女に友達も少し引いているようだ。
俺達からしたら5つも年上の大学生だ。
しかもファッションも流行のブランドを身につけ、とても話しが合うとも思えない。
「何観るつもりだったの?」
「……えっとスリートレックウォーズってやつです」
「ええー! やだーそれ観たかったの! なんか運命みたぁ~い」
なにが運命だ。
さらっと嘘のつけるすごさにさすがの俺でもびっくりした。
俺達の観るスリートレックウォーズはマイナーな作品で、ここまで来なければならないほど上映している映画館が少ないほどなのだ。
たまたま同じ作品が観たいなんてあるわけがない。
隣にいた友人らしき人も困ったような表情を浮けべている。
「で? どこの映画館?」
映画観るって言っていながら、映画館がどこかわからないとあっさり言ってしまう浅はかさに頭が痛くなってくる。
「亜季やめなよ……」
「何よーいいじゃん」
友人を咎めようとしたのだろう。
女の友人が声を出し、その声にびくっと反応しまう。
姉の声にそっくりだったのだ。
それだけで女の友人に対し無条件で好感度が上がった。
友人が来るのを待っていると見たことのある顔に気づく。
向こうもすぐに気づいたようで、横にいた友人らしき人と一緒にこちらに向かって来た。
「稜君!」
「あー……、こんにちは」
偶然に出会った人は、姉のサークルの人で三木谷さんが、亜季先輩と呼んでいた女だ。
飲み会に姉を迎えに行くとこの人が一番しつこく話しかけてくるので、俺としてはあまり関わりたくない相手だった。
「どうしてこんなところにいるの? 家この近くだったっけ?」
「いえ、友達と待ち合わせです」
「えーそうなんだぁー」
女がそう言っている後ろで友人が現れ、俺は友人に向かって軽く手を上げた。
「わりぃ、お待たせ……ってこの人達知り合い?」
「ああ、この人がねーさんのサークルの先輩」
「亜季でーす。彼のお友達?」
「はい」
体をくねくね動かし高い声で話しに割り込んでくる。
そうするのが可愛いと思っているんだろうけど、逆にわざとらしくて気持ち悪いとしか思えない。
「これからどっか行くの?」
「えっと……映画です」
聞かれて素直に友人が答える。
その言葉に女が嬉しそうに笑った。
なんか嫌な予感しかしない。
「うそうそ! 私達も映画観ようかーって話してたんだよ? じゃあさ、私達と一緒に観ようよ」
「え?」
どう考えても嘘としか思えないことをさらっと言って、一緒に行動しようと誘う女に友達も少し引いているようだ。
俺達からしたら5つも年上の大学生だ。
しかもファッションも流行のブランドを身につけ、とても話しが合うとも思えない。
「何観るつもりだったの?」
「……えっとスリートレックウォーズってやつです」
「ええー! やだーそれ観たかったの! なんか運命みたぁ~い」
なにが運命だ。
さらっと嘘のつけるすごさにさすがの俺でもびっくりした。
俺達の観るスリートレックウォーズはマイナーな作品で、ここまで来なければならないほど上映している映画館が少ないほどなのだ。
たまたま同じ作品が観たいなんてあるわけがない。
隣にいた友人らしき人も困ったような表情を浮けべている。
「で? どこの映画館?」
映画観るって言っていながら、映画館がどこかわからないとあっさり言ってしまう浅はかさに頭が痛くなってくる。
「亜季やめなよ……」
「何よーいいじゃん」
友人を咎めようとしたのだろう。
女の友人が声を出し、その声にびくっと反応しまう。
姉の声にそっくりだったのだ。
それだけで女の友人に対し無条件で好感度が上がった。