スケッチブック
きっかけは――
「え~? この絵が700万円!?」
休日に街に出た時、とある人物の個展に立ち寄った。そこで見た絵の値段を見て声を張り上げた彼女の口を、彼自身の手でおもむろに塞ぐ。
「こ、こら!」
周りをキョロキョロと見渡して、誰にも聞かれてやいないかと心配している彼。空気を読めない発言をしたにも関わらず、彼女はまだふがふがと何か文句を言いたそうだ。
彼に押さえつけられた手をはがす。どうやら呼吸が苦しかったのか、彼女は大きく息を吸い込むと、はぁ~っと一気に吐き出した。
「だって! これぐらいなら私でも描けるよ!?」
周りの雰囲気を察したのか彼にだけ聞こえるように小さな声で、この場にそぐわない台詞を堂々と言ってのけた。
「無理だって」
「──! 描けるって!」
否定されたのが余程悔しいのか、又彼女の声が大きくなる。彼の人差し指で口を塞がれ、しまったとばかりに首を竦めた。
彼女の耳元に彼が近づき、
「じゃあさ、描いて見てよ。これより素敵なのを」
耳元でそう囁くと、挑発的な顔で笑う。
言ったからには後に引けなくなった彼女は、その挑戦を受けてたったのだった。
「いいわよ! でも貴方も描いてよね!」
休日に街に出た時、とある人物の個展に立ち寄った。そこで見た絵の値段を見て声を張り上げた彼女の口を、彼自身の手でおもむろに塞ぐ。
「こ、こら!」
周りをキョロキョロと見渡して、誰にも聞かれてやいないかと心配している彼。空気を読めない発言をしたにも関わらず、彼女はまだふがふがと何か文句を言いたそうだ。
彼に押さえつけられた手をはがす。どうやら呼吸が苦しかったのか、彼女は大きく息を吸い込むと、はぁ~っと一気に吐き出した。
「だって! これぐらいなら私でも描けるよ!?」
周りの雰囲気を察したのか彼にだけ聞こえるように小さな声で、この場にそぐわない台詞を堂々と言ってのけた。
「無理だって」
「──! 描けるって!」
否定されたのが余程悔しいのか、又彼女の声が大きくなる。彼の人差し指で口を塞がれ、しまったとばかりに首を竦めた。
彼女の耳元に彼が近づき、
「じゃあさ、描いて見てよ。これより素敵なのを」
耳元でそう囁くと、挑発的な顔で笑う。
言ったからには後に引けなくなった彼女は、その挑戦を受けてたったのだった。
「いいわよ! でも貴方も描いてよね!」