青の向こう



多分今も好きなんだろうな。

私は呟くようにそう思った。


彼女は見た目や外面は大人っぽくても中身は幼い子供。

感受性が豊か過ぎて傷付きやすいし、泣き虫だ。

会って1時間も経っていなくても彼女が私である以上、私は彼女について何でも知っている。


今の私と違う所も、同じ所も。


例えば小さい頃から好きだったものは大抵今も好きだった。

その事で幼いやら子供っぽいやら思われそうだから周りにはあまり言わなかったけれど、私は確かに子供だ。

繊細で夢見がちな現実を知らない子供だ。


それは今も変わらない。


『響子の考え方、凄いよね。大人だ』


違う。

私は今でもムウちゃんやライオン達が好きだ。


グッズこそもう持っていないけれど未だにファンだ。


彼女の見る世界は今でも色褪せない。私の憧れの世界。


馬鹿な話だと人は笑うだろうけれど夢の国は確かにあると思う。


サンタも魔法も怪獣も信じたものは全てなかったけれどそれが存在する国はある。

祈るように思う。




私は大人になりたい子供だ。


それはもうずっと前から変わらない。きっとこれからも。
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