彼女アイデンティティ
名古屋で六年も働いて、その間には恋愛も不倫も片思いも経験し、
田舎にいた頃かなり純情だったあたしは、酸いも甘いも噛み分けたのだった。
正義は、必ずしも勝つわけではなく、
哀しいかなむしろ、負けることの方が多く。
努力は水の泡になり。
いくら性格が良くても
いくら好きの気持ちが大きくても
愛していたって
報われないことがあることだって知った。
冷静に物事を見分ける能力は身についたのだろうけど、
両親の愛をたっぷりもらって育ったし、遠く夢の国などにもかなり連れて行ってもらってたあたしは、
ひねくれることはなく、
冷静な部分も、そして夢見がちなところも、うまいこと兼ね備えていた。
そんな風に、冷静なあたしは分析する。