流れ星になったクドリャフカ〜宇宙で死んだ小犬の実話〜
「っ…………わかりました!」
エンジニアは深呼吸するように息を吸い込んで胸を張ると、意を決して頷いた。
「でも、どうなっても知りませんよ。僕は知らぬ存ぜぬで通しますから。あなたたちが私の目を盗んで勝手にやったことです」
とばっちりを受けてはかなわないとエンジニアはそういうが、それだけで十分だった。
僕らは顔を上げて、自然と笑顔を浮かべていた。
「ありがとうございます!」
「ありがとうございます!」
「ありがとうございます!」
そして、三人そろって一度上げた頭を再び深々と下げる。
「お礼なんていいですから、早くしてください! 誰か来たらどうするんです」
エンジニアに急かされて、僕はスプートニク2号のエアホールから水が湛えられた注射器を差し込む。
「クドリャフカ、お水だよ……」