流れ星になったクドリャフカ〜宇宙で死んだ小犬の実話〜
第4話「夜明けの空に昇るほうき星」
┣喜ばしいような報せ
「デジク、ツガン、リサ、マリューシュカ、ズビョーズドチカ、ムーカ、アルビナ、ストレルカ、スメラヤ、ベルカ、ボビク、チェルヌーシカ、リシーチカ、プシェルカ、ウゴリョーク、チャイカ、ベチェローク、クドリャフカ、ごはんだぞー」
ぎゃんぎゃんわうわうきゃんきゃんわんわんばうばう
新しい仲間を加えた飼育室はいっそうにぎやかで、僕はトラスキンさんと一緒に飼育室に入りながらみんなの名前を呼んだ。
「毎朝毎朝、なんで名前呼ぶの?」
エサを配りながら、トラスキンさんが犬の名前を呼ぶ僕を不思議そうに見てくる。
不思議そうに見てくるトラスキンさんの方が、僕には不思議だ。
「なんでって、挨拶は人付合いの基本じゃないですか」
「……あ、そうなんだ」
そうなんだ、と納得したようなことを言いながら、トラスキンさんはまだ僕のことを不思議そうに見ていた。
「それにしても、もう新入りの名前覚えたんだな。俺はまだよく覚えてねーよ。なんだっけ、おまえが連れてきた子」
「クドリャフカですよ。見たまんまじゃないですか」
きゃんきゃん
自分のエサ箱にドッグフードを入れてくれるトラスキンさんに、クドリャフカは急かすように吠え立てている。
「よく鳴いて、元気いいよな。クドリャフカ(巻き毛ちゃん)よりライカ(吠える)って名前の方が似合ってるんじゃないか?」
冗談めかしてトラスキンさんが笑う。
きゃんきゃんきゃんきゃんきゃん
「それもいいかもしれませんね」
僕もクスクスと笑い返し、クドリャフカの鳴き声がやんだと思ったら、エサ箱に頭を突っ込んでドッグフードを貪り食っていた。