流れ星になったクドリャフカ〜宇宙で死んだ小犬の実話〜
 クドリャフカが宇宙へ飛び立ち、クドリャフカが死んでから、五ヶ月が経った。

 仕事を辞めて地元に帰った僕は、新しい職場を見つけ、新しいアパートも借りることが出来た。

 生まれ育った街には両親もいて、顔なじみも多く、心が安らぐ。

 一時は関連団体や大使館にクドリャフカを送り出したことへの抗議の電話や手紙が殺到していたらしいが、さすがにそれも鎮静化しているようだ。

 生物が宇宙へ生きて飛んだことの重要さ。

 たった六時間だとしても……

 まだ、クドリャフカは空を回っている。

 死んだのに、まだ回っている。

 月は恐ろしいほど長い時間地球のまわりを回っているが、人工衛星はそうではないらしい。

 いつかは墜ちてくる。


「クドリャフカは、いつ帰ってくるんだろう……」


 例え、大気圏で燃え尽きる運命だとしても。
< 122 / 132 >

この作品をシェア

pagetop