流れ星になったクドリャフカ〜宇宙で死んだ小犬の実話〜
「お疲れ様でした!」
新しく就職した繊維工場を後にして、新しいアパートへの道を歩く。
田畑が広がる田舎道を行く。
駅前に商店がいくつかある程度なので、ここに越してからは外食より自炊が増えた。
料理の腕もめきめき上がっている。
まあ、食べるのは自分ぐらいなものなんだけれど。
こじんまりとしたアパートにつく。
一階にある僕の部屋の前に立ち、鞄からカギを探す。
プルルルルルル
ドア越しに、電話のベルの音が聞こえた。
「ヤバッ……!」
電話が切れる前に出なければと慌ててカギを開け、玄関に飛び込む。
「はいはーい、今出ますよー!」
聞こえないとわかりながらもそう叫び、靴を乱暴に脱ぎ捨てる。
「はい! もしもし?」
電話に飛びつき、なんとか間に合ったかと思ったが、電話の向こうは沈黙していた。