流れ星になったクドリャフカ〜宇宙で死んだ小犬の実話〜
「クドリャフカ!」
僕は飛び起き、砂浜に手をついてその流れ星を見上げる。
スプートニク2号が大気圏に突入して、燃え上がっているのだ。
目を見張るようなスピードでスプートニク2号は流れて、眩しいまでの光を放っていた。
「クドリャフカ――!」
僕は立ち上がり、砂浜を踏み締めて叫んだ。
彼女の魂が迷わぬように。
いや、ただ叫びたかった。
彼女の名前を叫びたかった。
クドリャフカを呼びたかった。
「クドリャフカ――!」
僕はここにいるよ、ずっと君を待ってたんだ。
すぐにその光は弾けて四方八方に飛び散り、機体が大破したのだとわかった。
いろんな色に輝きながら、無数の流れ星が散っていく。
その中で、こちらに向かって飛んできているように見えた物があった。
「クドリャフカ……!」
そんなはずはない。
クドリャフカの体は真っ先に燃え尽きたことだろう。
けれど、その光はまるで突如生まれた星のように、眩しさを増しながら近づいてくる。