流れ星になったクドリャフカ〜宇宙で死んだ小犬の実話〜
 ユリヤさんの瞳が涙に揺れる。

 長い睫毛に結びつく雫、頬の産毛の上を転がり落ちる真珠のような涙。

 俯きがちに月光に照らされる彼女の姿に、僕は不安がうつるどころか、不謹慎にもドキドキしていた。

 相変わらず髪はろくに整えられていないし、化粧だってしていない。

 けれど、彼女は美しい。


『好きです』


 思いが声となって溢れてしまいそうだった。

 泣き顔で、ますます好きになってしまうなんて……
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