流れ星になったクドリャフカ〜宇宙で死んだ小犬の実話〜
┣用意はできた
「おはよう、ツガン、デジク。調子はどうだ?」
わしゃわしゃと、右手でツガン、左手でデジクの頭をなでる。
二匹ともよく眠っていたとユリヤさんが言っていたので、昨日はあのまま様子は見ずにそっとしておいた。
二匹とも頭をなでられ、気持ちよさそうに手のひらに顔をおしつけてくる。
きゃんきゃん!
わんわん!
二匹とも、開発局から基地への移動の疲れはなく、元気な様子だった。
「今日は大変な一日になるけど、頑張れよ」
二匹にブラッシングをして、エサをやる。
窓の外はまだ暗く、そんな中でロケットの発射準備は進められていた。
二匹はただいつものように大人しく、元気で、僕に向かってしっぽを振っていた。
「ツガンとデジクの様子はどうだい、ハイエルくん」
「はい、見ての通り元気ですよ」
きゃんきゃん!
わんわん!
ツガンとデジクを迎えにきたチェルノコフさんに僕が挨拶をするように、二匹はチェルノコフさんにしっぽを振りながら駆け寄る。
「そうか。今日は大変だろうけど、頑張れよ」
僕に頷き返したチェルノコフさんは、駆け寄る二匹にしゃがみ込んで、目を三日月形に細めながらツガンとデジクの頭をなでる。
僕は自分とまったく同じことを言っているチェルノコフさんがどこか可笑しくて、こっそりと笑った。