流れ星になったクドリャフカ〜宇宙で死んだ小犬の実話〜
「それじゃあ、行こうか」
「はい」
力強く頷き、二人で二匹を率いながら外へ出る。
日の出前の空は淡い蒼みを帯びた灰色で、高揚する気持ちを落ち着かせようとする。
間近で見るロケットは想像以上で、銀色に煌めく巨体はまるでSFの世界だ。
発射の準備はあらかた終わったらしく、皆はロケットの周囲をゆっくりと動いている。
ロケットから離れた場所にある移動用の車の隣で、ユリヤさんが局長と話し込んでいるのが見えた。
きゃんきゃん
わんわん
ツガンとデジクが鳴き声を上げると、みんなが二匹のもとに集まってきた。
「デジク!」
「ツガン!」
「いよいよだな!」
「頑張れよ!」
「健闘を祈る!」
「無事帰ってこい!」
「気張れよ!」
宇宙開発局の設計チームや生体研究チームの面々はもちろん、これが二匹にはじめて会うエンジニアの人々も、思い思いの激励を飛ばす。