流れ星になったクドリャフカ〜宇宙で死んだ小犬の実話〜
第5話「いつか見た悪夢」
┣意気揚々と
「で、これがそん時の写真?」
「はいっ、そうです!」
宇宙開発局の食堂でスープの入ったカップを片手に大きく頷く。
向かいの席でパンにかじりついているトラスキンさんの手には一枚の写真が握られていた。
晴れて宇宙飛行士となったツガンとデジクと共に撮った写真だ。
ツガンとデジクを中央に、局長とチェルノコフさんが二匹を挟むように座り、更にその周囲を皆が囲う。
僕は写真の隅に半ば隠れそうになって写っていた。
その隣には、満面の笑顔を浮かべたユリヤさんだ。
「で、どうだった?」
返された写真を胸のポケットに仕舞いながら、僕は胸を膨らます。
「そりゃあ、もう。興奮しましたよ!」
大きく息を吐きながら、僕は自然と笑顔になるのを感じていた。
開けられたハッチから聞こえた、ツガンとデジクの元気な鳴き声。
ケージから出され、しっぽをふりふり跳ね回る二匹に、ロケットのエンジン音に負けないぐらいの歓声が上がった。
沸き上がる興奮に、どうしたらいいのかわからず、僕は拍手するようにその場で小走りに地面を踏む。
手はぎゅっと脇で固められ、この興奮をどう発散すべきか迷っていた。
隣のユリヤさんは緊張の糸が切れたのか、ポロポロと泣きだし、けれど笑顔だ。
僕はユリヤさんを抱き上げて、くるくると回り踊り出したい気持ちだった。