流れ星になったクドリャフカ〜宇宙で死んだ小犬の実話〜
 ツガンはただの犬じゃない。

 ロケットでの飛行実験を体験した犬だ。

 そんな付加価値のついた犬は、さぞやいい貢ぎモノになるだろう。

 ベルゾニスキーさんは国家委員会の議長だ。

 国に掛け合って予算を引き出すことが出来れば、研究ははかどりより進むだろう。

 局長の有人飛行の夢。

 その夢に向けられた熱意は、揺るぐことなく人々を圧倒させるほどだった。

 昔、局長は無実のスパイ容疑をかけられ捕まったらしい。

 地獄の代名詞ともなる強制労働の収容所に送られて半生半死になりながらも、その夢は決して消えなかった。

 出処後、才能を認められロケット開発に携わることになる。

 無実とはいえ書類上は前科者であり、国家の正式な職員とはなれなかった。

 けれど、その才能を十分に生かさせるために無実の罪への謝罪とまではいかなくとも名誉回復が行われ、正式な国家職員となった。
< 46 / 132 >

この作品をシェア

pagetop