流れ星になったクドリャフカ〜宇宙で死んだ小犬の実話〜
┣娘と息子
「みんな、ごはんだぞー」
朝、警備兵に身分証明証を見せて施設に入ると、作業着に着替えてドッグフードを持って行く。
リサとデジクが亡くなってからも、僕は変わらぬ毎日を過ごしていた。
変わったことといえば、朝に犬達の名前を呼ばなくなったぐらいか。
寂しい笑みが浮かんだ。
きゃんきゃんわんわんびゃんびゃんばうばうわうわうぎゃんぎゃん
みんなが、いつものように歓声を上げる。
ヴァン!
と、聞き慣れない鳴き声を犬たちの喧騒の中から聞き分ける。
誰かがまたスカウトしてきたのだろうかと、部屋の中を見渡すと……
「うおっ!」
すぐ側の部屋の角に鎖で繋がれちょこんとおすわりしていた毛の長いハスキー犬のような犬。
見た目はハスキー犬そのままなのだが、大きさは中型犬ぐらいしかない。
とはいえ、飼育室にいる犬達に比べると相当大きく見えた。