流れ星になったクドリャフカ〜宇宙で死んだ小犬の実話〜
「おめでとうございます、妊娠一ヶ月です」
いつも犬たちの健康チェックをしてくれている生体研究チームの一人が、懐妊を告げた。
「よかったなぁ、アルビナ!」
めでたくイヴァンと夫婦になったのは、真っ白な体が魅力的なアルビナだった。
「イヴァン、おまえもパパだぞ〜」
診察台の下でお座りしているイヴァンの頭を、トラスキンさんが撫でる。
イヴァンは何が起きたのかよくわかってない様子だった。
「エサも少しずつ妊娠授乳中の物に変えたほうがいいですね、あとは産室をつくったりしないと……飼育室は騒がしいから、別の場所がいいですね。ダンボールとかで簡単に作れますよ」
「ところで、出産予定日は……?」
「早ければ来月にでも」
人間なら、十月十日だ。
「そんなに早いんですか!?」
「犬の妊娠期間は、だいたい二ヶ月ですからね。早いですよ」
予想外のことに、目を真ん丸くしてしまった。