流れ星になったクドリャフカ〜宇宙で死んだ小犬の実話〜
 ユリヤさんは嬉しくて堪えきれないように、小さな子供みたいに歯を剥いて笑う。


「それがあったら……宇宙へ行けるんですよね?」

「そうよ! これでようやく、人工衛星が打ち上げられるわ」


 ユリヤさんの中に、喜びや興奮はあっても、不安はない。


「今、局長が打ち上げ許可を出すよう上と掛け合ってるわ。きっと許可は下りる。下りないはずがない。だってもう、打ち上げられるんだもの」

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