流れ星になったクドリャフカ〜宇宙で死んだ小犬の実話〜

「しかも、組み立て中のスプートニクは特製スタンドの上でベルベットの布で覆われているとか」

「それは凄い……」


 それだけ、スプートニク1号が持つ意味は深い。

 宇宙開発史にじゃない。

 世界の歴史に刻み込まれる。

 地球にへばりつくしかない人間が、空さえ越えて宇宙に挑む。

 地球には一つしかない衛星を、もう一つ増やす。

 月と同じ衛星を、人工的に生み出すんだ。

 星を一つ増やすという偉業。

 まるで神にでもなろうとしているようだ。


 ぶるるるるるるっ


「うわあああああ!」


 クドリャフカが泡だらけの体を震わせ、水を飛ばす。

 辺り一面に泡が飛び散り、僕も泡だらけになってしまった。


「ク〜ド〜リャ〜フ〜カー……」


 僕が怒った声を上げても、クドリャフカは


 きゃん


 と嬉しそうに鳴く。
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