流れ星になったクドリャフカ〜宇宙で死んだ小犬の実話〜
┣長い夢を見ていた
ポッ
と、汽笛が鳴る。
建造されたロケットが、機関車でゆっくりっ発射台に運ばれていく。
ロケットと足を揃えながら、僕らも発射台へと向かう。
今までにないぐらい大勢の関係者が集められているというのに、とても静かだった。
今日は、スプートニク1号、打ち上げの日。
僕の隣には、トラスキンさん。
後ろの方にはユリヤさんがいる。
誰も喋らない、厳粛な空気。
前方には、チェルノコフさんと局長がいた。
局長は、少し俯きがちに歩いている。
少し、なにやら話している人たちも局長だけには話し掛けられないだろう。
そんな重い空気を纏いながら、局長は何を考えているんだろうか。
苦難を乗り越え、ようやく夢が現実になる日がやってきた。