流れ星になったクドリャフカ〜宇宙で死んだ小犬の実話〜
 打ち上げは順調だった。

 ロケットを見届けてから、統制室に向かう。

 狭い統制室にある受信機にエンジニアたちがかじりつき、部屋からはみ出した人たちも見守っている。

 スプートニク1号は、球体に四本のアンテナがつけられた形をしている。

 そのアンテナから発せられる電波は電離層の観測を行うのだが、その電波は世界各地で受信することが出来る。

 もちろん、この統制室でも。

 打ち上げが成功していれば、直にこの受信機からビープ音が聞こえてくるはずだった。


 ザーッ……


 しかし、受信機から聞こえてくるのはノイズ音ばかりだ。

 皆、固唾を呑んで気持ちで見守ってる。

 もうロケットは打ち上げられたのだ。

 後はただビープ音が聞こえてくるのを祈るしかない。

 宇宙へ飛び立った物を、地上からどうこうすることは出来ないのだ。

 皆、その時を待った。
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