流れ星になったクドリャフカ〜宇宙で死んだ小犬の実話〜
ザー……
延々と聞こえてくるノイズ越しに、僅かな違和感が近づいてきた。
ザー……ザーッ……ビッ……ザー……
遠くから、何かが聞こえてくる。
遠くから、何かが近づいてくる。
ザー……ザーッ……ビー
それが、徐々に大きくはっきりと聞こえてきた。
ビーッ!
そして、ビープ音が確かに受信機から聞こえ、官制室の空気を震わした。
まるで波の音のように、静かなざわめきが広がっていく。
まだ、歓声は上がらない。
まだ、成功ではない。
無事、衛星の軌道に乗っていれば、この音は遠ざかり聞こえなくなる。
そして、地球の回りを一周して戻ってくるはずなのだ。
ビーッ、ビーッ、ビー……ビッ……ザー……
ビープ音は次第に遠ざかり、聞こえなくなる。
再び、雨音にも似たノイズしか受信機は発さなくなった。