流れ星になったクドリャフカ〜宇宙で死んだ小犬の実話〜
第8話「闇は深く立ち込める」
┣やりきれない現実
「もう聞き及んでいることと思うが、スプートニク2号に犬を乗せることになった」
僕やトラスキンさんなど、普段犬の世話をしている下級職員たちを集めて、チェルノコフさんがその決定事項を告げる。
「まだ誰が行くかは決まっていない。が、今までの訓練成績からムーカ、アルビナ、クドリャフカの中から選ぶことになると思う」
僕は口の中を噛んで平静を装いながら、それをじっと聞いていた。
口の中に、血の味が広がる。