流れ星になったクドリャフカ〜宇宙で死んだ小犬の実話〜
 いっそこのまま訓練なんて失敗してしまえばいい。

 こんな計画、中止になればいいんだ。

 せめて、無事に帰還できるだけの技術が確立されるまで……

 それじゃなきゃ、あんまりだ。

 僕らの期待に応えようと、彼女たちは今まで頑張ってくれていたのに。


 僕らは彼女たちを裏切る。

 それも、もっとも酷いやり方で。

 僕は彼女たちを殺すために拾ってきたわけじゃない!


 スプートニク1号は、人類の夢と野望を乗せて飛んだ。


 スプートニク2号は、政治と策略と一匹の哀れな犬を乗せて飛ぶ。


 世間はスプートニク1号に沸き立ち、記念切手が発売されたりしている。

 今や、世界の中心はこの国だった。

 そして、この宇宙開発局だった。

 中でも、人工衛星を設計しているチーム。

 近頃、ユリヤさんを見かけても話し掛けることが出来なかった。

 忙しそうに走り回る彼女は、宇宙へ飛ばす棺桶を作っていた。


 旅の道連れは、人工衛星?

 それとも……

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