流れ星になったクドリャフカ〜宇宙で死んだ小犬の実話〜
「おいっ、遅いぞ!」
クドリャフカと歩いていると、トラスキンさんが僕らを呼びに走ってきた。
「おまえ、リード外すなよ……逃げたら、大目玉だぞ」
「すみません」
トラスキンさんは僕の手からリードを取ると、クドリャフカを呼ぶ。
「クドリャフカ!」
きゃん!
クドリャフカは尻尾を振って、トラスキンさんの元に駆け寄っていった。
「さー、帰ろうか」
トラスキンさんはクドリャフカの首輪にリードを取りつけると、わしわしと撫でる。
草原を走り回り転げ回った後のクドリャフカは、体中に草をいっぱいくっつけていた。
「しょうがねぇなぁ」
トラスキンさんは苦笑すると、葉っぱを一枚一枚丁寧に取ってあげている。
僕はそっと空を見上げて、目を逸らす。
笑うトラスキンさんの目は、涙を湛えていた。