deep forest -深い森-
「そんなに申し訳ないなら、せめて姫の名前位は教えたらどうだ?圭織さまか?藤緒さまか?似たような名前ばかりで見当もつかん。そこから探し出しせるかどうかはオレ次第だ」
「…深見さま…」
「それすらダメか?」
「………」
園生の視線に、男は小さく頷くと。
「…あの方には、お名前はありません…。ですが…」
「……?」
「深い森の奥に行けば、深見さまなら…きっと…」
と、言い、もう一度深く頭を下げると、屋敷の中へと戻って行った。
「深い…森の、奥?」
何かの暗号か?それとも……
それとも……
『深い森』と『沈丁花の香り』…か。
園生は軽く眉をしかめると、屋敷に入ることなく、その場を後にした……