deep forest -深い森-
園生
「園生さん…」
「園生さん…」
「園生さーん?起きなくて大丈夫なんですか?」
黒髪の妖艶な美女、桜は、そう言うと、布団で猫のように丸くなって眠っている、園生の耳に噛みついた。
「…っ!桜!」
園生は桜の腕を掴むと、布団に引きずり込んだ。
「もっと優しい起こし方があるんじゃないのか?客だぞ?オレは!」
と、言う園生の言葉に、桜は笑って。
「優しく起こしても、起きてくれなかったんですよ。夕べ激し過ぎたんじゃないですか?あたしに溺れちゃいました?」
と、言って、すぐ近くにある園生の唇にくちづけをする。
「オマエがオレを離さなかった・・・の、間違いじゃないのか?」
園生は、クスリと笑って桜の髪を撫でた。
「園生さん!」
園生の台詞に赤くなった桜は、悔し紛れに園生を逆に押し倒した。
「オイオイ、オマエ、次の客がいるんじゃないのか?」
桜は売れっ子の娼婦で、園生と一晩過ごした翌日も、大抵、午後一番で次の客の予約が入っていた。
園生はカタチだけ心配してみるものの、桜が積極的なので、快楽に身を任せる事にする。
「…ホント、くやしい…もっと、あたしに…惚れてくださいな…」
けれど
桜の艶やかな声を聞きながらも、園生は今夜のパーティーの事を考えていた。