deep forest -深い森-
しかしその態度が涼の気に触れるという事はないらしく
涼はもう一口葡萄酒を飲むと
「もう三月程前になるが・・・」
と、言ってグラスを女に渡し、長椅子の背もたれに寄りかかる様にして背中を起こした。
「『深い森』の奥に住む天使に逢いに行くと言って消えた老画家がいる」
「老画家?」
「東の是方と言えば芸術に興味のない跡取り殿でも耳にした事位あるのではないか?」
先程までとはまるで違う知的な口調で園生に問いかける涼。
「東の是方・・・美人画で有名な清田是方ならば先月・・・」
「------ああ、死体で見つかっている」