Don’t injure me!



壱川は走り続ける。

あてもなく、ただひたすらに。


やばいヤバイ尋常じゃない常識じゃない子供じゃない人間じゃないバケモノか妖かアレは一体っ……


何 な ん だ 。


道行く人々をかわし裏路地へ入る壱川。壁に背を預け、息を整える。



「はあっ、はっ………なに、あれ」


『俺と遊ぼ、レンちゃん』


「っ、知らない知らないっ!ぼくはあんな子供知らないっ!な、に…なんで、なんでなんでなんでっ、」



アレは一体なんなのだ。


頭を押さえしゃがみ込む壱川は、混乱する脳を落ち着けようと何度も深呼吸をする。


大丈夫、まだぼくは壊れていない、と。念じるかのように。

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