恋の味

合唱コンクール


季節は秋になり、夏休みに必死で覚えた合唱曲、

「この星に生まれて」

夏休み明けの最初の音楽の授業でフルで歌った。

みんな当日の順番で並んで歌った。

私と海斗は端っこだからあまり見えなかったけど、

ひょっと顔を前に出したら見えた。

そのことに気づいて前に出してみたら、

ぱっと目があった。

私は海斗のまっすぐな視線に逃れられなくなり

固まってしまった。

そんな私に気づいたのか、海斗は笑いながら目をそらした。

(はぁー。よかったぁー。)

「...つき。彩月!」

「ん?」

「あてられてるハーモニーって答えて!」

「え?あ、ハ、ハーモニーです!」

咲ありがとぉー!

そういっていたら心にバカにされた。

「彩月ポカ~ンとし過ぎだって!」

おなかを抱えて笑う心。

「心のばかー!」

怒る私。

ふと海斗を見たら、ニコっと笑っていた海斗。

私の顔は真っ赤に染まった。

(反則だよー!そんなのー)

< 11 / 213 >

この作品をシェア

pagetop