恋の味

そして歌う時が来た。

初めて中学生としての合唱コンクールをした。

みんな真剣に歌っている中、

私はさっきの海斗の言葉で頭がいっぱいになったから

せっかく夏休みに必死で覚えた歌詞が吹っ飛んでしまった。

何もかも忘れてしまって、

結局なにも歌えなくて終わってしまった。





終わった後に隣で歌っていた心に

「彩月歌ってなかったでしょ?」

すごい怖い顔で言ってきた。

「す、すいません・・・」

おどおどする私に心は

「うそだってー!ばっかじゃないのー!」

大笑いする心。

嘘だったからちょっと安心した。

帰るときも笑っていた心に

「もぉ!笑い過ぎだって!」

私がそう言ったら心が

「だって、彩月の謝罪の言葉がすごい真剣だったから」

そういった心はまた笑った。

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