恋の味




「前もくれたよね?」



おぼえてる。



私が保健室で寝ていて心配した海斗が


走ってきてくれた時にくれた飴。



「うん。よく覚えてるね?」


ニコッと笑って私に差し出す。



「ありがと」



そう言って海斗の掌の中から



飴をとる。



「いただきまーす!」



食べると、甘く切ない、あの時と



同じ味がした。



私にはそれが恋の味だと思った。
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