BITTER HONEY~女上司とイケメン部下の秘密結婚~
《2》意地悪な部下

ー奈有sideー

バスルームがガラス張りだなんて信じられない…



さすがはラブホ…欲望を煽る部屋の演出には抜かりがない。



「…先に小野瀬が浴びなさい…」



「…そう言われても…恥かしいなぁ」



棗も私と同じコトを思ってる。



棗は上着を脱いで、シャツの一番上のボタンを外す。


その仕草だけでドクドクと心臓が激しく脈を打ち始める。



棗はネクタイの結び目を外して、しゅるとを引き抜きながら私のすぐ隣に腰を下ろした。


触れ合う腕に熱が集まっていく。



私は移動しようと腰を上げる。



「奈有」


甘く低い棗のテノールと手が私の動きを止めた。


そのまま…棗の腕の中に強引に引き込まれていくーーー・・・



「棗…」


私は萎らしく虫の羽音のような小さな声で彼の名前を呼ぶ。

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