BITTER HONEY~女上司とイケメン部下の秘密結婚~
私はドアを施錠して、棗の方を振り返った。


棗は目を細めて、獣が獲物を見定めたような視線で私を見つめる。


「やっと二人になれましたね…挨拶も終わったし…これで、存分に奈有を抱き締められる」



「棗?」


私は咄嗟に逃げようとしたけど、


棗は逃がすまいと両手を伸ばして私を抱き締める。


棗のシャツ越しに伝わる厚く固い胸。



私は身体奥の疼かせて、息を飲む。



「…二人にはなりたくなかったの?」



「それは…」



本当はずっと、二人になりたかったーーー・・・


兄貴が邪魔で邪魔で早く帰れと心の中で念じていた。










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