その衝動の果て…【完】
僕は生まれて自分を意識した時から異常なマザコンだった。

幼いころは「子どもはみんなマザコン」と言い訳していた。

オヤジや兄に、嫌悪感をあからさまにして悪態をつき母を独り占めした。

母は、僕だけのもの…

そう思い続けていた。

母も年を経てから授かった末っ子の僕を、とにかく可愛がってくれた。

「いっちゃんはお母さんっ子ねぇ~」

とよく周りから言われたがへっちゃら。

だって僕は母さんが大、大、大好きだったから。

僕にとっては生まれた時から…

母がすべてだった。


10歳になり、その途端にアイツに色々と訳の分からないことを吹き込まれ…

正直不愉快だった。


その後も、その感情はどうすることもできなかった。


思春期が来て、衝動を感じたのは…

目の前にいる母。それがどう考えてもおかしいことは、この頃にはわかっていた。

だから、この感情を隠すようになった。

先輩に誘惑されて、色々と経験した。でも、やっぱり嫌悪感しかなかった…


最初にアイツに会った新幹線に乗る母を見おろす様子を見た時、

アイツも僕のように母のことが好きなんだろうなとは思った。

というか、自分でも止められないこの激しい感情はアイツのものだったのだ。

それこそ母を壊しても手に入れたいほどに…

そして実際、アイツは母の人生に何度も介入し、めちゃくちゃにしている。
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