その衝動の果て…【完】
ソファーで眠ってしまったカノジョ。

それはもちろん僕がそうなるように仕掛けたからだ。

もうこれでカノジョはしばらく目覚めることはないだろう…


しばらくカノジョをそのままにし、

僕はドキドキする心臓に「鎮まれ!!」と言い聞かせながら、

キッチンでカップをいつものように片付ける。


いつもと違うのはこれからしばらくの時間が僕とカノジョだけの為に…

世界が回るという事実。

僕は片付けを終え、眠っているカノジョの左手を取り口付けた。

そして、その細い薬指にある忌々しい指輪をそっと抜き取り

目の前のテーブルの上に置く。これでカノジョはもう僕だけのものだ。


『ほうちゃん…』

僕の意識の中に突然アイツが現れる。

僕はその感情を無理やり押し込めて、自分自身が意識を支配する。

こんな時に乗っ取られてたまるものか。

カノジョがこの手にはいる。この瞬間になんて…

ありえない。

僕が自分の感情と闘っていると、目の前のカノジョが「まさとぉ~」と呟いた。


僕はその言葉に感情が凍り付く。それはアイツの器(うつわ)の体の名前。

仮の宿主。カノジョにとっては初恋の人でおそらく…

今でも最愛の人。
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