その衝動の果て…【完】
次に覗いたのは身近なオヤジの心の中。

その中には僕にとっては受け入れることのできない事実も秘められていた。

その他にも色々なものを見ながら、

つい興味本位で見たものに浮かんだ思いをわざとオヤジに投げつけた。


『10年後にこの子だけに一度会いに来るからよろしく伝えといて?か』

目の前のオヤジは目を見開き僕を見た。

『慈希(いつき)か?10年後…

何だそれは?』

でもそれは僕と同じように心の中に対してだった。

オヤジも実は僕と同じ能力を持っていることをこの頃知った。

『僕への伝言だろ?』

その言葉を言っているのはあの男…

母の学生時代の恋人だったアイツ。アイツが何で僕に会いに来る???

得体のしれない恐怖心を隠しながら、

僕は心にもう一度問いかけるとオヤジは息をのんだ。

『なんだ、こいつもテレパス?…

わかるのか?』

『この頃わかるようになったんだ』

僕はオヤジに対してちらっと視線を投げかけながら

『めんどくさいから黙っていたけど…』

別にいちいち報告する義務なんてない。


『伝言?』

オヤジはそう質問を投げかけながら青い顔で固まっって立ち尽くしている。

『僕が生まれる前に、誰かからそんなことを言われてるんだろ?

厳密には言われたわけじゃないんだろうが…』
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