素敵な恋愛お売りいたします。
ラヴアクチュアリー
3日後。

渋谷の東急ハンズの前にある、レンガ色のマンションの一室に、
ラヴアクチュアリーはあった。

君は二機ある古びたエレベーターの右側に乗り込んだ。

上階へ上がるその一室は魔界の入り口のようにも感じる。

少し躊躇いながら、インターホンを押した。

男性の声が壁のスピーカーから聞こえた。

「はい、どなたさまでしょう?」

君はプリントアウトした紙を手に話した。

「あの、恋を売ってるって・・・」

「はい、ご依頼ですか?どうぞお入りください」


男性は恰幅があり、灰色のスーツを着ている。
中は11畳ほどの部屋でテーブルが2つ。
そしてそのテーブルには、それぞれTVとDVDが置かれている。

「恋をお探しですか?」

「あ、いえ。少し興味があって」

「予算はおいくらぐらいでしょう?色々な恋がございますよ」

「いろんな?」

「もし宜しければ、データにさせていただきますので、

こちらのプロフィールにご記入いただけますでしょうか。
もちろん個人情報は遵守いたします」

君は、初めて風俗に来てわけが判らなくなった青年のように項目を書き込んでゆく。
住所。指名。誕生日。血液型。好きな俳優。趣味、特技など。

「27歳でございますね。でしたら
今一番人気のあるコースはこちらでございますが」


男性はそう言うと一枚のDVDを持ってきてTVをつけた。
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