恋はとなりに


学校に行くと、いつもの場所にももちゃんが一人で座っていた。

「おはよー。昨日はありがとう。」

と言って向かいの席に座った。

河瀬君は見当たらない。

「河瀬君は?」

「ラインしたんだけど……。既読にならない。さくらからも連絡してみなよ。」

「うん。」

ももちゃんに言われて、河瀬君にラインした。

“学校来てる?”

打った後で、気づいた。

あれ、なんか無神経かも……。あたしと別れたせいできずらくなってるのに。


でも打っちゃったもんは仕方ないな。

仕方ないよね。


「ももちゃん。彼氏と順調?」

「うん。すっごく順調。本当に幸せー。」


ももちゃんは見たことないような笑顔で言った。

その笑顔を見たらあたしも幸せな気分に少しだけなれた。


ももちゃんの彼は3つ上の会社員。

合コンで知り合ったらしい。結婚したいと言われていて。
ももちゃんはとても愛されているそうな……。

うらやましい……!


「ももちゃんはいつも落ち着いてたのに、そんなにラブラブだったのね。いいなー。」


「さくらも出会えるよ。素敵な人。近くにいるじゃないカケル君は?」

「カケル君?もうフラれてるし。それに、今はコウタの方が気になる。」


「でもカケル君はさくらのこと好きだと思うけどな。」

考えながらペットボトルのお茶を飲んだ。

そして、ももちゃんは閃いたように目を見開いた。

「あ、そうだ!さくらに紹介したい人がいるから今度出掛けよう。ダブルデート!!」

「えぇ、知らない人といきなりデート?」

「彼の友達なの。あたしも会ったことあるんだけど。さくらにぴったりだと思う!今度の日曜日開けといて、どうせ暇でしよ?」


ももちゃんはノリノリだったけどあたしは勿論気乗りしなかった。

人見知りだし。

ももちゃんの彼氏だって会ったことないのに。

しかも社会人だなんて。

うーん。

でも悲しいけど日曜日に予定はない。


< 104 / 122 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop