恋はとなりに
ダブルデートなんてしたことないし。
ダブルデートどころか、まともなデートもしたことないな。
どこに行くんだろう。
日曜日の朝。
朝食を、全員揃って食べていた。
あたしは思わず
「はーあ。」
大きなため息をついた。
みんな一斉に視線があたしに集まったのがわかった。
「な、なにか?」
あたしはため息したこと自分で気づかなかったので、顔にご飯粒でも付いてるのかと、頬を触った。
「でっかいため息ついて、どうしたんだよ。」
コウタに言われた。
「あ、ため息?出てた?いや、別に……、なんか眠くて。」
あたしは苦しい言い訳をしてご飯とお味噌汁をずずっとかきこんで部屋に戻った。
何着て行ったらいいの?
自分に聞いてみる。
答えは勿論ない。
なんだっていいよね?
スカートって気分にもなれないしなー。
鏡を見てまたため息をついた。
でもデート……。デートにはスカート。
あたしはタイトスカートを選んだ。
玄関を出ると、カケル君がいた。
あたしのことを足元から見ているのがわかった。
「あれ、オシャレしてどこ行くの?」
「ももちゃんと約束してて……。」
「送ってこうか。おれ、暇だし。」
と言われてあたしは喜んだ。
慣れないヒールを履いてて歩くのやだったから。
「どこで待ち合わせ?」
車に乗り込むと音楽が流れた。知らない歌だった。
あたしは駅の名前を言った。
「ももちゃんとなにするの?」
「なんだろう、わかんない。」
「俺もいっていい?暇だし。」
あたしは思わずカケル君をみた。
そしてとっさに
「だめだよ。」
と言った。
カケル君は笑いながら、
「邪魔者だよなー。おっさんだし。」
と言った。
「今日、ももちゃんの彼の友達とダブルデートなの。」
「え、……それでオシャレしてんのか。」
「そう、ももちゃんの彼も会ったことないのに緊張するよー。」
あたしは笑いながら言った。
カケル君は無言だった。
「カケル君はそういう経験ありそう。どんな感じ?」
話しかけてもカケル君はあたしの声が聞こえてないみたいだった。
どうしたんだろ?
カケル君の腕をつついてみた。
そしたらやっと、こっちをみた。
「ん?なに?」
「話しかけてるのに……聞こえてないみたいだったから。」