恋はとなりに




目が点になってると、カケル君は柵から降りておもむろにあたしを抱き締めた。


「え?」

あたしは直立したまま動けなくなった。


「俺はさくらが好きなの。だから他の誰とも付き合ってほしくない!」

「え?え、え、え、?」

カケル君の突然の告白が受け止められない!

「好きって、あたしのこと?」

「そうだよ。」

「カケル君が?」

「そうだって。」

抱き締められたままあたしの確認作業は続いた。


でも、何度聞いても信じられない。


「妹としてじゃなくて?」


カケル君は抱き締める手を緩めた。

「妹としてみたことなんかなかったよ。」

その言葉を聞いたら涙がこぼれた。

カケル君の胸を押して少し離れた。

「じゃあ、なんで……。」


今までのことが走馬灯のように頭の中を駆け巡った。

妹、妹、妹、妹……。

カケル君はずっとそう言って、あたしの気持ちを拒んできた。


なぜ?



私は泣いていた。


堪えきれず、しゃがみこんで泣いた。


「ごめん。さくら、俺が悪い。」



泣きじゃくって、5分くらいしたら気持ちがスッキリした。

まだ涙も乾かないまま空を見上げると、空もスッキリ晴れていた。


家でご飯を食べる気になれなくて、ファミレスで済ませた。





カケル君を見ても、私を好きって実感は湧かなかった。


それから私とカケル君は付き合っているような感じになった。


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