恋はとなりに
覚醒
好きと言われ、他の誰とも付き合ってほしくないと言われたから
そうしようと思っていた。
彼氏を探すことも必要ないし。
それは、一見前と変わらない生活だった。
カケル君は時々私の部屋に会いに来た。
でも、もう抱き締めたりしなかった。
触れることもなかった。
ちょっと話をするだけ。
付き合うのも、付き合ってとは言われてないし。
その話もあの日以来していなかった。
コウタは相変わらず彼女とうまくいってるみたいで、時々彼女を連れてきていた。
コウタは彼女といるときとても楽しそう。
あの日から2週間ほどたったある日。
夕飯のあと、カケル君があたしの部屋に来ていた。
あたしはベッドに寝転がりスマホをいじっていた。
カケル君は机のイスに腰掛けて、仕事のこと、話しているようだった。
すると、ドアをノックする音がして開くとコウタが入ってきた。
コウタの顔は怒っているみたいだった。
久しぶりにムスっとした顔を見た気がした。
「なんかあったのか?」
コウタは聞いている。あたしになのかカケル君に聞いているのかはっきりしない。
あたしには思い当たることがないのでカケル君に聞いているんだろう。
カケル君はコウタを部屋から連れだそうとしたけどコウタは言うこと聞かない。
「さくら、大丈夫か?」
コウタの言葉にはじめはピンとこなかった。
「大丈夫だよ?」
何が?の意味を込めて答えた。
「お前、最近全然笑ってないぞ。」