恋はとなりに
「おかえりなさい。ケーキあるわよ、お茶にしましょう。」
おばさんに呼び止められた。
わたしは、ダイニングでおじさんとおばさんと3人でお茶をいただいた。
亜也ちゃんが買ってきてくれたケーキらしい。
ショートケーキはとてもしっとりして濃厚でおいしかった。
「みた?コウタと亜也ちゃん。」
おばさんは嬉しいのか照れてるのか、笑っている。
「はい、ベンチでお話してましたよ。楽しそうに。」
あたしの言葉に、笑いながら眉間に皺を寄せた。
「そうなのよね~、あんなコウタ見るの初めてでなんかこっちが恥ずかしくなっちゃう。」
「へぇそうなんだ。」
あたしは、亜也ちゃんに嫉妬していた。
はっきりと嫌な気持ちになって、亜也ちゃんが買ってきてくれたおいしいケーキを食べるのをやめて、部屋に戻ってしまった。
なんで?
こんなイヤな気持ちになるのかな。
コウタが好きなの?
好きなのかな。
二人を見たときは嫌な気持ちにはならなかったのに、おばさんの言葉を聞いたら……。
あんなコウタ見るの初めてって、あたしと居たときも楽しそうだったのにってことかなぁ。
清楚で可憐な子の方がよかったな……。
自分の中の黒い気持ちに気付いてしまった。
知らなかった、こんなこと思うなんて……。
あたしって嫉妬深いんだ。
この気持ちはどう処理したらいいの?
積み上げた積み木を壊すみたいに、コウタと亜也ちゃんの関係も壊してしまいたい……?
さすがにそんなこと思ってないなぁ。
コウタと亜也ちゃんは、お似合いのカップル。
今までコウタがそばに居てくれて支えてくれてたから、その支えがなくなるのが不安なのかな。
あたしってば自分の都合ばっかり考えてたのかな、
サイテー。
なんか考えてると、自分がやな部分が見えてきて自己嫌悪に陥る。
なんか最近暗い。考えてばかりいるし、
カケル君のこと好きだったあたしはどこに行っちゃったの?
鈴木宅を飛び出して、自宅の自分の部屋に飛び込んだ。
息を切らしながら、カケル君との思いでの品を探した。
机の引き出しをあさったけど、何も見つからなかった。
バンって強めに引き出しをしまった。
「何さがしてんだよ。」
突然声がしたので驚いて振り向いた。
コウタがドアにもたれて立っていた。
「びっっっっっっっくりしたぁぁぁぁぁぁぁ。コウタか。」
心臓が止まるかと思った。
「亜也ちゃんは?」
「待たせてる。さくらが血相変えて走ってったからどうしたかと思って。亜也も見てきた方がいいって言うから。」
「なんかわけわかんなくて。どうしたいか、とか。考えてても答えは出ないし。コウタは幸せそうだし。」