恋はとなりに


クローゼットを見てても仕方ないのでカケル君の部屋に戻り、いつもの服の中から選ぶことにした。

そしてなんとなく着心地のいいラクな服装になった。
ジーパンと大きいシルエットのチュニック。


これだな。

今のお気に入り。

ベッドの上に洋服を並べてみて、頷いた。


いつ行くかもわからないけど、一応服装だけ決めておいた。


カケル君のCD棚を見ていた。

適当に選んで、オーディオで曲をかけて溜まったレポートを始めた。


でも、いつの間にかカケル君のこと考えてる……。

どこ行こうか、行きたいとこ探してる。

て言うか連れてってくれるのかな。
不安になる。

それの繰り返し。


最近カケル君とはまともに会話もしてなかったから、

もしかしたらもう彼女とかできてるかもしれないし。

さっき電話したときも、賑やかだったから合コンとかかもしれないし。

はー。

今頃になって、恋心が覚醒するなんて。

ちょっと遅い!

今はカケル君に会いたくて仕方ない。


覚醒?したのかな。

これは恋なの?

よくわからないけど、会いたい。


今すぐ会いたい。いつも同じ家にいたのに。


ドアをあければいたのに。

今日に限っていないなんて……。


なんだかいつもタイミングが合わない気がする。

コウタの時も合ってなかった。
タイミングが合ってたら今頃付き合ってたかもしれないのに。


でも、それもこれも運命だよね。
コウタは今はステキな彼女に出会えたわけだし。


あたしも今はカケル君への恋心を取り戻せて、幸せな気分。

どっかに押し込もうとしてた気持ちをやっと解放できたみたい。


カケル君を好き!


いてもたってもいられなくなって、レポートも手につかなくて、桃ちゃんに電話をかけた。



「そっか~。よかったねー。覚醒したのかー。いやぁめでたいね、お祝いしなくちゃ。」






< 113 / 122 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop