恋はとなりに
クローゼットを見てても仕方ないのでカケル君の部屋に戻り、いつもの服の中から選ぶことにした。
そしてなんとなく着心地のいいラクな服装になった。
ジーパンと大きいシルエットのチュニック。
これだな。
今のお気に入り。
ベッドの上に洋服を並べてみて、頷いた。
いつ行くかもわからないけど、一応服装だけ決めておいた。
カケル君のCD棚を見ていた。
適当に選んで、オーディオで曲をかけて溜まったレポートを始めた。
でも、いつの間にかカケル君のこと考えてる……。
す
どこ行こうか、行きたいとこ探してる。
て言うか連れてってくれるのかな。
不安になる。
それの繰り返し。
最近カケル君とはまともに会話もしてなかったから、
もしかしたらもう彼女とかできてるかもしれないし。
さっき電話したときも、賑やかだったから合コンとかかもしれないし。
はー。
今頃になって、恋心が覚醒するなんて。
ちょっと遅い!
今はカケル君に会いたくて仕方ない。
覚醒?したのかな。
これは恋なの?
よくわからないけど、会いたい。
今すぐ会いたい。いつも同じ家にいたのに。
ドアをあければいたのに。
今日に限っていないなんて……。
なんだかいつもタイミングが合わない気がする。
コウタの時も合ってなかった。
タイミングが合ってたら今頃付き合ってたかもしれないのに。
でも、それもこれも運命だよね。
コウタは今はステキな彼女に出会えたわけだし。
あたしも今はカケル君への恋心を取り戻せて、幸せな気分。
どっかに押し込もうとしてた気持ちをやっと解放できたみたい。
カケル君を好き!
いてもたってもいられなくなって、レポートも手につかなくて、桃ちゃんに電話をかけた。
「そっか~。よかったねー。覚醒したのかー。いやぁめでたいね、お祝いしなくちゃ。」