恋はとなりに



翌朝、清々しい秋晴れの日曜日。


早起きしたあたしはカケル君の部屋を覗きに行った。

襖を開けた途端、お酒の臭いがした。
部屋中に充満していたので窓を開けた。

障子をあけたら日射しが入って部屋の中が明るくなって、カケル君は険しい顔して目を開けた。



「さ、くら……?」


カケル君は半分寝ぼけているような感じ。


「おはよー朝だよ。酔っぱらい!」


「今なんじ?」

「7時」

「はえーよ……寝かせて。」


と言って布団に潜ってしまった。


あたしはおとなしく部屋を出た。



そのまま、自分の家の自分の部屋に入った。


はぁ~、つまんない。

カケル君のどこがすきだったんだっけ?


カケル君はあたしのことほんとに好きなの?


あんなに不機嫌そうなカケル君初めてみた、もう2度と起こしたりしない。

強く決意した。



もうすぐ両親が帰ってくる。

だれもいない家。

すぐに埃がたまる。

家中に掃除機をかけた。

もう、涼しい時期だけど汗かいた。


お母さんは大変だな。いつもこんなことしていたのか。
と、お母さんの苦労が少しわかったところでやめた。

リビングのソファに座ってスマホを見ていた。

家中のコンセントは抜かれていて、静まりかえった家の中はいつもより広く感じて急に怖くなった。
急いで起き上がり、家を出た。

そして駅の方へ向かった。

あてもなく、歩いていた。駅を過ぎて、延々続く田園風景に癒されながら嫌気がさした。

果てしないな。

喉が渇いたけど、自動販売機も見当たらない。

それよりお財布もないから買えないや。

また歩いて帰るしかない。

踵を返し歩きだした。

でも、帰りたくないな~。

カケル君のこと考えると苦しい。

なんかいろいろわからなくて苦しい。

信じられないし。

自分がどうしたいかもわからない。


その場にしゃがみこんで考えた。






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