恋はとなりに
カケル君と一緒に割れたお皿を拾う。
行こうか迷っている。
「ああ~大丈夫かよ。」
カケル君はいつもと変わらない。
掃除機をかけて片付けは終わった。
「あたし、今日はお姉ちゃんちに行くから。」
「ああそっか。じゃあ今度な。」
あたしはカケル君の顔まともに見ることが出来ずに部屋を去った。
おばさんに挨拶してから、お姉ちゃんちに向かった。
合鍵は持ってるからいなくても入れる。
彼氏と同棲とかしてないといいんだけど。
駅に着いたら念のため電話をかけた。
姉とはずっと会ってない。
家に帰ってこないのだ。
大学卒業してからそのまま就職して1人暮らしを続けている。
お母さんとはたまに電話してるみたいだけど。
姉はあたしとは正反対、見た目も性格も正反対。
あたしは内気でおとなしくいつもお姉ちゃんの後ろに隠れているような子だった。
姉は誰とでも友達になれちゃう。見た目も派手で、いつも輪の中心にいるような人だった。
小さい頃は、お姉ちゃんがいないとダメだった私も、中学生の頃には1人を好むようになって。お姉ちゃんも高校生で遊んでばかり家に帰るのが遅くて会わなくなった。
始めはお姉ちゃんの生活を心配もしたけど、そんなこと次第に気にならなくなってお姉ちゃんは大学にいくとますます疎遠になって今に至る。
仲良しって訳ではないけど、やっぱり姉妹だし。そばにいたら相談とかしたかったかも。
何年ぶりだろう。お姉ちゃんの声聞くの。
「もしもしー?さくら?今仕事中だけど、なんかあった?」
「今日、お姉ちゃんち行っていい?」
「えー?!なんでいいけど。ちょっとまた後でかけるわ。」
お姉ちゃんは忙しそうに電話を切った。
行っても大丈夫みたい。安心して電車に乗り込む。
お姉ちゃんの名前はカンナ。夏に咲く真っ赤な花の名前からとったのだ。
名前に合ってる。
因みにお姉ちゃんは春に生まれた。夏生まれはあたしなのに。
夏生まれのあたしの名前がさくらで、春生まれのお姉ちゃんがカンナってややこしい。って昔はよく思っていた。