恋はとなりに


電車に揺られること2時間。ようやく着いた。

駅にコンビニもあるし飲食店もたくさんある。けっこう都会。

お姉ちゃんから電話がきた。


「さくら?なんで急にくんの?あたし、今日帰るの7時くらいになるから。帰ったら聞くからね。」



「特に用はないんだけど。もう着いたから。待ってるね。」



適当に電話を切り、部屋へ向かう。

8畳のワンルームにベッドがあって部屋は物がいっぱいだけど整理整頓されている。

姉らしいと思った。


家具などは白で統一されていた。


ベッドに横になってカケル君のこと考えたら胸が苦しくなった。


両想いなのにこんなに苦しいなんておかしい。


遠く離れてスッキリするかと思ったけどそうでもないし。

モヤモヤしてる。


会いたくて仕方なかったのに、そんなに今は会いたいと思わない。

どうして?!

やっぱりカケル君とは付き合えないかも。


お断りしよう。




って思ったらもっと苦しくなる。


なんなのこれ。


恋人ってこんなに苦しいの?

みんなスッゴク幸せそうなのに、あたしのはなんなの?



夜、お姉ちゃんが帰ってきてあたしはこの気持ちを吐き出した。

「好きだから苦しいんだと思うんだけど。」

お姉ちゃんは携帯をいじりながら答えてくれた。

「でも、あたしがさくらの立場だったらカケル君のこと許せないかも。許せなくて、だけど好きで苦しくなってるのかなぁ。」


許せない…………。



「そうかも。」


あたしは少しわかった気がした。

「でもさーなんなのそのカケル君。やめた方がいいんじゃない?女ったらしっぽい、遊び人?」

お姉ちゃんは携帯を置いて真剣に言ってきた。


「遊び人………………………ではないよ。遊びで付き合ってる訳ではないし。」


考えながら答えた。


「でもさーさくらも変わったよね。さくらと恋愛の話できると思わなかった。女子大生だもんね。イケメン彼氏ができるなんて中学生のあんたからは想像できない。」


「そんなに酷かった?」


「酷いって言うか。今どき幼稚園児の方が色っぽいなって思ってた。」


あたしが膨れると、「そこが可愛いとこでもあるんだけどね。」と付け足した。


あたしたちは仲良し姉妹になった。

一緒に暮らしてる時こんなに話をしたことはなかった。


いわゆるガールズトークみたいなのは、あたしが出来る状態ではなかったから。


翌日は気分良くうちに帰ってきた。



< 118 / 122 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop