恋はとなりに
昼頃帰ってきて、家には誰もいなかった。
おじさんとおばさんとカケル君は仕事かな。
コウタは学校だろう。
あたしも、大学に行かなきゃいけないんだけど今日はお休みした。
12月に入ってだいぶ寒くなってきた。
もうすぐクリスマスだな。あたしには縁のない行事だ。
お姉ちゃんと話したらスッキリして、少し苦しい気持ちが和らいだ。
でもカケル君とは付き合わないことにした。
あたしは妹のままでいい。そんな気がする。
カケル君が好きって言ってくれたけど素直に飛び込めない。
それってもう付き合えないってことなんだと自分で解釈した。
勿体ない気はするけど。でも付き合ってる自分が想像できない。
夕方コウタが帰ってきた。
コウタはすぐにあたしの部屋に入ってきた。
「さくら、大丈夫なのか?」
「うん、お姉ちゃんと話してたらちょっとすっきりしたよ。もう大丈夫。ありがとう。」
コウタは、安堵の表情自然と笑顔になる。
「あたし、やっぱりカケル君とは付き合わないことにしたよ。どう思う?」
コウタの笑顔が消えた。驚いてる様子。
「え、あ、そうなの?!なんで?」
「なんでと聞かれると、困るけど。あたしは妹のままでいいと思った。」
「決めたんなら仕方ないね。アニキがっかりするけど。今まで遊んでた罰だね。」
「そういうことだよね。」
コウタの言葉に心底納得した。
「アニキ、さくらがここに住んでるって知ってからアパートもすぐ引き払ってきたし。さくらが合コンとか行ってるって聞いて気が気じゃなかったみたいだよ。早く自分の気持ちに正直になれば良かったのにな。」
「そうなんだ…。なんでもっと早く言ってくれなかったんだろう。」
カケル君のそんな話を聞いたら切なくなった。
本当に何を考えているんだろう。