恋はとなりに
こんなんじゃキスする気になれないのかも。

大学生だし、メイクくらいしようかな。



スーパーの化粧品売り場で物色していると、お母さんが来た。

「さくらはメイクしなくても可愛いけどね。年頃だし、欲しいなら買ってあげる。」


とお母さんが言ってくれたのでメイクセット一式揃えた。

家について早速メイクしてみた。すごいきれいになった気がした。
お母さんも褒めてくれた。

嬉しくなってコンビニ行ってファッション雑誌を買ってきた。
オシャレに気を配らないといけないな、と思って読んでたけどとても真似出来そうになくて、ハードルの高さに挫折した。
暇になったあたしはいつものように窓からカケル君の帰りを待つことにした。

明日から仕事だから今日はそんなに遅くならないだろうな。

でも夕飯は食べて来るだろうなぁ。なんて考えてるとカケル君のミニバンが帰ってきた。

ニコニコ見ていると助手席から女の人が下りた。

え、誰?
あたしは氷ついた。

さっき買った雑誌に載ってそうな服を着ている。

彼女かな・・・。
二人はなにやら親しげで家に入っていった。


なんなのなんなの。彼女いないって言ってたのに、ツヤッツヤの長い髪の彼女。

色っぽいってああいうこと?あたしには、生まれつきないもののように思えた。

だから妹みたいになってるんだ。


カケル君はああいうモデルみたいな人が好みで、あたしなんて論外なんだ。

もうすぐ19才になるのに、なんも成長していない気がした。

カケル君を好きな意味もわからなくなってきた。
どんなに想っても、想いは実らない。

でも好きだから仕方ないなあ。

カケル君は振り向いてくれないのに、あたしはずっと追いかけてる。

なんて切ないんだろう。
このままだと一生結婚できないかもしれないな。

そろそろ片思いも終わりにしないといけないな。


他の人たちはどうやって恋を終わらせるんだろう。

ていうか、あたしなんてとうにフラれてるからしつこいのかも。
カケル君はあたしのこと何度言えばわかんだよ!って思ってたのかも。

やめるってどうすればいいの?




< 12 / 122 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop