恋はとなりに
夕飯を食べてるとカケル君が帰ってきた。
あたしの頭をポンポン叩いて、「さくら帰ってきたな。」
と呟いた。
ご飯食べ終わってお風呂も入って部屋にいるとカケル君が入ってきた。
「なあ、どこ行くか考えた?」
ベッドに腰掛けている。
あたしは椅子ごとカケル君の方を向いた。
「あ、あれはもういいの。お出掛けしたくなくなったから。」
「え、なんで?いいじゃんどっか行こうよ!俺がいきたいし。」
「…。」
カケル君が行きたいのか。と、黙ってしまう。
「ところで、姉ちゃん元気だった?」
「うん、久しぶりだったけど元気だったよ。」
「そっか良かったな。」
と言ってカケル君はあたしの座っている椅子を自分に引き寄せた。
「わあ!」
ぼぅっと座っていたあたしは驚きの声をあげた。
「な、なに。」
目の前にカケル君の顔があると思ったら今度は椅子をくるりと180度回転させられてカケル君が背後にいる形になった。
「なにするの?」
と言い終わる前に、カケル君は私を後ろから抱き締めた。
「ごめん、ちょっとこのままでいさせて。」
とカケル君は言った。
あたしは動けずにいた。
どれくらい時間がたったか、解放されたと思ったら。
「椅子が邪魔だから立って。」
と言われ立ち上がると今度は体を密着させて正面から抱き締められた。
あたしは直立不動だった。
こんなの初めてでただただドキドキしていた。
力強いカケル君の腕の中は、安心できる気もした。
暫くしてカケル君の顔が近づいてきて口づけをしそうになったらあたしも我に返って拒んだ。
「なんで、だめ?」
当然のようにカケル君は聞いてくる。
「いきなりそんな…。」
抱き締められたままこたえた。
あたしがモジモジしていると、カケル君は流行りのアゴクイをしてあたしのファーストキスを奪った。
一瞬で終わるフレンチキスのあと再び抱き締めた。
カケル君はラインが立て続けに入ってきてようやくあたしと離れた。
そしてベッドに腰かけてスマホをいじりだした。
あれ、なんか流されちゃってる…。妹でいようと思ってたのに。ファーストキス奪われちゃった。
元々大好きだったからそんなに嫌な感じはなかったけど。