恋はとなりに
思ったより早く来てくれた。駐車場で待つ間嬉しすぎて手が震えてた。
カケル君はかっこよく参上してあたしは助手席に乗り込んだ。
清香ちゃんに呼び出されたことを話した。加藤君の話もした。
「なんだか、変なやつらと友達なんだな。でもなさくら、友達は多い方がいいぞ。男の友達もいないと・・・。」
カケル君はそう言って黙りこんだ。
あたしは運転するカケル君を目に焼き付けようと、見つめていた。
カッコいいカッコいいカッコいい!
「本当にカッコいい!お兄ちゃん。」
照れ隠しにふざけて呼んでみた。
カケル君は
「ふん、アホさくら。」
と一言だけ。
「仕事帰りの疲れた顔のカケル君もいいねえ。」
「ガキに興味ないから。」
「ガキじゃない!もう19なのに!もう10代も終わっちゃうからね。20才になったら、カケル君ちでお酒飲むからね。」
あたしがいうとカケル君は笑った。
「クックックッ。飲んでいいよ。言ってることが子どもだもんなー。」
カケル君の発言にあたしはハッとした。しまった!また色気のなさをアピールしてしまった!あたしのバカバカバカ。
「昨日、一緒にいた女の人彼女?」
テンションが下がったついでにもっとテンションが下がりそうな質問をしてみた。
「見られてたのか、彼女だよ。今度さくらにも紹介しないとな。」
「紹介しなくていい。カケル君の彼女なんて好きになれないから。」
あたしは前を向いて言った。
「そっか。」
と言ってラジオを付けた。
窓の外を見るともう家の近くで、あたしはもっと乗っていたいような救われたような複雑な心境だった。